ワイヤードの歴史を語るのに,新たな言葉がひとつ加わった。企業がワイヤードとの関わりを考慮するのに,新たな材料がひとつ加わった。ユーザーがワイヤードで多くのアドバンテージを得るために,新たな標本がひとつ加わった。
福岡市内の男性(38)が東芝製ビデオデッキの不具合で東芝渉外監理室の社員から暴言を受けたと,その音声会話とともに謝罪を求めるホームページを公開している問題で,東芝は福岡地裁に先週申請したホームページの内容の一部削除を求める仮処分申請を取り下げ,役員の暴言について謝罪する方針を固めた。東芝はホームページ上でも謝罪と説明を掲載した。
一般紙でも取り上げられ,テレビでも取り上げられ,ワイヤードの話題からリアルワールドの話題へと大きく伝播した東芝サポート問題。これでとりあえずひとつの終局を迎えたことになるが,ワイヤードにおける一個人と企業との関係,企業のワイヤードとの関わり方,対企業としてのユーザー同士の意見のつながり,などなど取り上げられるべき議題は多い(関係記事,6/21「ワイヤードで言葉を持つ消費者」,7/9「リアルの正義の嵩」)。
それにしても驚くのは「東芝のアフターサービスについて」のホームページのアクセス数で,19日夜の時点で600万アクセスに届く勢い。問題自体だけではなく東芝やマスコミに動きがあると即座にページを更新して,常にこのページを中心として問題を取り上げているのがうかがわれた。そのやる気,機動力が,ワイヤードの意見を動かし,全面謝罪へのアドバンテージとなったとも云える。ワイヤードの使い方と,その持っている力を語るうえで,貴重な一事,となった。
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